【祭事用語】
地鎮祭(起工祭){(じちんさい)(きこうさい)}
【意味】工事着工にあたり、その敷地の守護神を祀って、土地の永遠の安定と、工事の安全を
祈願するもの。
「地鎮の儀」、「鍬入れの儀」ともいい、正式には,「苅初の儀」「穿初の儀」「鎮物埋納の儀」の
三つの儀式からなるが、
実際には「苅初の儀」と「穿初の儀」あるいは「穿初の儀」のみですませることが多い。
苅初の儀(かりぞめのぎ)
【意味】盛砂に差してある忌草を鎌で刈る儀式。設計者が行う。
穿初めの儀(うがちぞめのぎ)
【意味】発注者が鍬をもって土を掘る所作を3度行う。
そのあとで施工者が鋤もって土をすくう動作を3度行う儀式。
鎮物埋納の儀(しずめものまいのうのぎ)
【意味】柳箱に納められた鎮物を発注者が盛砂に納める儀式。
鎮物は神札、通貨、鏡などで、後に建物の基礎に埋め込む。
立柱式(鋲打祭り){りっちゅうしき(びょううちさい)}
【意味】柱を立て始めるときに行われる儀式。主に鉄骨造において第1節の柱を
建て始めるときに行う。
立柱の儀は、最初に立てる柱を神宮が祓い清め、続いて設計者、施工音、発注者によって
ボルトの締付けと検査を行う。
この祭事は設計者、発注者と工事関係者のごく内輪で行われるケースが多い。
上棟式(じょうとうしき)
【意味】木造建築で棟木(むなぎ)を取り付けるとに行われる儀式。
鉄骨造の場合は最上階の鉄骨取付けのとき、
鉄筋コンクリート造の場合は、最上階にコンクリートが打ち上がったときに行われる。
鉄骨造の場合、上棟の儀と称して「鋲打の儀」(びょううちのぎ)を行うことが多い。
「鋲打ちの儀」は、「鋲納めの儀」「鋲締めの儀」「検鋲の儀」の順序で進められる。
鋲納めは施工者、鋲締めは設計者、検鋲は発注者が一般的である。鉄筋コンクリート造の場合は
上棟の儀のなかで、棟礼をお祓いする型で行われることもある。
鋲納めの儀(びょうおさめのぎ)
【意味】鉄骨にボルトとナットを取り付ける儀式。
鋲締めの儀(びょうじめのぎ)
【意味】ナットをスパナで締め付ける儀式。
定礎式(ていそしき)
【意味】定礎という文字と年月日などを刻んだ定礎石[ていそせき]を外壁に
取り付けるときに行う儀式。
仕上げ工事がかなり進んだ段階あるいは竣工式の当日に行われることが多い。
定礎石の裏側には銅ステンレスでつくられた定礎箱[ていそばこ]が埋め込まれる。
定礎箱には氏神のお礼、定礎銘板、建築平面図、当日の新聞、通貨、事業報告書などが
納められ、ハンダで封印される。
竣工式(しゅんこうしき)
【意味】建物が完成し使用を開始する前に、建物が無事に竣エしたことを神様に報告し、
感謝の念を捧げるとともに、永遠なる建物の安全堅固と、施主の繁栄を祈願する儀式である。
建物の完成時に行われる儀式は「清祓式」と「竣工奉告祭」の二つがあり本来、
竣工式は竣工奉告祭のことであるが、
現在はこの二つを区別せず一緒のものとして行われているようである。
清祓式(きよはらいしき)
【意味】完成した建物を祓い清めるための儀式。「修祓式」[しゅうばつしき]ともいわれ、
「竣工奉告祭」と「修祓式」を合わせて「竣工修祓式」という名称で行われることもある。
竣工奉告祭(しゅんこうはうこくさい)
【意味】新建築物の安全・建築主の永遠の繁栄を祈願する儀式。
落成式(らくせいしき)
【意味】建物の完成を祝い、対外的にお披露目をする行事である。
主な関係先や工事関係者への感謝などを加味して行われるもので、
神事をともなう竣工式とは別とする考え方が一般的なようである。
手水(てみず.ちょうず)
【意味】式開催に先だって執り行うもので、式場の外で体のけがれをとり、清切なる心身で
神事に臨むための儀式である。
手水用具を式典場入口に設け、係の者を二人一組としてその場所に待機させる。
1人は、入場する参列者の手で柄杓で水を掛け清める係。
もう1人は手を拭いてもらうための半紙を手渡す係である。
本来は発注者、来賓、設計管理者、施工者の順に行うが、
簡略化して参列者の到着順に行う場合もある。
礼法(れいほう)
【意味】礼法とは、お辞儀のことで祭事中参列者には「磬折(けいせつ)」「揖(ゆう)」「拝(はい)」の
3種が必要とされる。
磬折(けいせつ)
【意味】上体を40〜60度に曲げるお辞儀である。お祓いを受けるときと、祝詞奏上のときに行う。
揖(ゆう)
【意味】玉串を神官から受け取るときに行う会釈程度のお辞儀のこと。
厳密には「深揖」(上体を45度曲げる)と「小揖」(上体を15度曲げる)とがある。
拝(はい)
【意味】最も丁寧とされるお辞儀で、上体を90度に曲げるお辞儀のこと。玉串を奉奠する際に行う。
拍手(かしわで)
【意味】誰もが自然に覚えている、日本独特の敬礼である。
簡単なようにも思えるが、正式な作法は意外に知られていないので注意する。
まず、胸の前で両手を合わせて、右手を少しすり下げる。次いでゆっくり左右に開き打ち合わせる。
そしてもう一度打ち合わせ、二度打ち給わったら、右手をすり上げもとのように両手を合わせ、
ゆっくり手を下ろし元に戻す。
なお、指と指の間は開いてはならず、また両手は肩幅はどに開くのがよい。
奉献酒(ほうけんさけ)
【意味】祭壇(献酒案)にお供えするお酒のことであり、必ず化粧箱入りにし、
箱は奉献紙(白紙)で包み水引きをかける。
この際奉献紙、水引きなどは不揃いをなくすために施工者側で用意しておき、発注者側には
その旨を伝えておく。
配置は、祭壇に向かい右側に発注者側のものを、左側に設計者、施工者のものを供える。
玉串奉奠(たまぐしほうてん)
【意味】その土地および建設する建物の永遠の安定と、発注者並びに工事関係書の守護を
祈念するため、玉串を奉って拝礼するものである。
玉串自体は、榊に紙垂を付けたものである。時間などの都合により、代表者1名が行う場合と、
複数の参列者が個々に行う場合とがある。
いずれも、玉串奉奠の厳格なる作法を正確には行えないことが多いようである。
ほかの参列者の作法もあらかじめ練習を行うなどして、祭事が滞りなく進むよう関係者との打合せを、
入念に行ったほうがよい。